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【学科旅行】三菱重工業 名古屋2工場 見学

事象発生日:2017-03-08

記事公開日:2017-03-08

アクセス数:8550

学科旅行2日目は,名古屋にある三菱重工業の2工場を見学してきました.ミサイル,官需(防衛用)エンジン・機器,宇宙エンジン・機器,民間航空機用エンジンなどを製造している名古屋誘導推進システム製作所(通称 名誘)と,戦闘機,ヘリコプタ,民間輸送機,宇宙機器などを製造している名古屋航空宇宙システム製作所(名航)の飛島工場です.

 

トップ画像の出典はこちら

1.名古屋誘導推進システム製作所(通称 名誘)

配布資料など

名古屋市街からバスで40分ほど北上すると名古屋誘導推進システム製作所(通称 名誘)に着きました.ここでは,ミサイル,官需(防衛用)エンジン・機器,宇宙エンジン・機器,民間航空機用エンジンなどを製造しています.

2.飛翔体などの研究開発部門

国産ミサイルや,PAC-3,SM-3などのミサイルの研究開発,また製造も名誘で行っているそうです.

SM-3 Block1Aは米国製を三菱がライセンス生産.Block2Aからは共同開発となり,今年2月に三菱が開発を手がけたノーズコーンの展開・分離実験などのために発射実験が行われたようです.

3.ロケットエンジン工場

ロケットエンジン組み立て工場では,今まさにLE-7A,LE-5Bエンジンの生産が行われていて,ノズルをゼロ距離で見ることができました.しかも当然本物.貴重な体験.担当者曰く,2年後に打ち上がるH-ⅡAかBに搭載されるそう.また,次期国産主力ロケットH-Ⅲ用エンジンLE-9の生産のために工場の拡張が始まっており,また工場内にはLE-9用の治具などもすでにいくつか見られました.

H-ⅡA,H-ⅡBときてH-Ⅲ.ロケットのシリーズは,エンジンで決まることが多く,次期ロケットのエンジンはLE-9と新しくなるのでシリーズ名もアップグレードされます.

 

LE-7Aは二段燃焼サイクル.LE-5B,LE-9はエキスパンダーブリードサイクル.

二段燃焼サイクルが比推力が高く効率がいいのですが,構造が簡単で信頼性の高いエキスパンダーブリードサイクルが時期主力ロケットの第一段エンジンとして採用されました.二段燃焼サイクルは最高効率を叩き出せるので,米国スペースシャトルか日本かみたいな雰囲気があったのにやめてしまうのは残念です.ただ,日本のロケットはコストが高く国際競争力もないので仕方がないのかな.

 

ノズルスカートは,冷却のための液体水素を流すための管をろう付けして製造されます.耐熱性に優れるニッケルを含んだ合金でできている管との相性と加工のしやすさから昔は金ろうを用いていたそうですが,今は銀ろうを使用しています.

スペシャルシャトルのSSMEも昔は金ろうで,古いエンジンが展示してある博物館ではそれが見えるらしい(場所も言ってたが,忘れました.).

ノズルスカートを熱処理する真空釜は,ロケットエンジンが入らないといけないためとても大きく工場内に搬入できないので,工場建屋を建てる前に設置し,その後に工場外壁を建てたそうです.

4.旅客機用ターボプロップエンジン工場

工場内は,そこら辺にロケットノズルや旅客機用エンジンタービンディスクなどがおいてありました.タービンディスクのクリスマスツリーの加工精度は0.001mm程度.自動車部品の加工精度が0.1mmのオーダーであることと比較すると,かなり高い精度が求められてます.

自動車などでは加工の容易な材料を開発するそうですが,エンジンは高速回転し,さらに高温にさらされるため,材料の加工のしやすさには重点をおくことができません.その固くて加工しづらいものを高い精度で製作する設備と能力が三菱重工にはあるといいます.

 

MRJ用のエンジンの最終組み立ての準備も進められていました.

エンジンの最終組み立てには,サプライヤーの統括,品質管理の能力が求められるため,国土交通省航空局やアメリカFAAなどの認可が必要で,国内で初(世界で6カ国目)のエンジン最終組立拠点となる模様です.

従来の旅客機用エンジンでは,シャフトが単軸であるためファンとタービンの回転数が同じでした.タービンには最適回転数(比較的高速)がある一方,高バイパス比なものではファンの経が大きく,高速回転するとサージやファン翼端での衝撃波が発生してしまいます.

その為,このエンジンでは,ギヤードターボファンエンジンと言って,ギア比約2.8の遊星歯車によってファンの回転数を下げています.

5.名古屋航空宇宙システム製作所(名航)の飛島工場

配布資料など

名古屋市街からバスで20分ほど沿岸部へ向かうと,名古屋航空宇宙システム製作所(名航)の飛島工場に着きました.ここでは,戦闘機,ヘリコプタ,民間輸送機,宇宙機器などを製造しています.

6.MRJ構造組立工場

輪切りの飛行機と,主翼がたくさん並んでました.ここは昨日今日で一番飛行機工場感が出てました.それにしても飛行機の外板って薄いですね....

 

そういえば,MRJはまだ型式認定取れてませんよね.それなのに量産機の製造を始めてもいいのか伺ったところ,社内でも議論されていることだが,設計変更があったらあとで改修する.そこまで大規模な設計変更はおそらくない.とのこと.市場投入が遅くなればなるほど損失が増え,また開発が遅れに遅れていることを考えるとやむを得ないのでしょうか.

 

工場内を見学していて,一つ気になったのが,至る所に加湿器があったことです.表面塗装やシールをする際の雰囲気の環境が重要らしく,冬は乾燥するので品質管理のために加湿しているそうです.

7.宇宙機器組立工場

トップ写真が宇宙機器組立工場の写真.

H-ⅡA34号機,35号機が製造されていました.これはともに準天頂衛星「みちびき」を搭載する予定です.また,奥ではHTV「こうのとり」が製造段階にありました.

 

H-ⅡAの打ち上げを見ると,機体本体に大きく三菱重工のロゴがペイントされているのが見えますが,実はフェアリング,固体ロケットブースタを製造しているのはそれぞれ川崎重工,IHIです.他社も自社製品に大きくロゴを入れればいいのに...,と思ったり思わなかったり.

 

ロケットはチリを嫌います.理由は,仮にチリが燃料タンクに残っていたら,極低温の液体燃料で凍り,それが成長し,配管などに詰まるおそれがあるからです.

また,第一段ロケットの上部は液体酸素,下部は液体水素タンクですが,上部の液酸はロケット外部にある配管を通って最下部のエンジンへと供給されます.打ち上げ時によく見ると第一段ロケット側面に配管が見えます.

8.懇親会

夜,三菱重工の方々との懇親会がありました.kmrsk/kizm研,aok/ykzk研,rnie/immr研出身の方しかいなくて,その偏りに驚きました.推薦は学科で枠があるので,研究室は特に関係ないそうです,

 

ここでは,懇親会で聞いたことなどを少しまとめておこうと思います.

 

「MRJの主翼並んでますけど,これ量産機ですか?」

「そうです.」

「あれ?確かまだ型式認証取れてませんよね?」

「はい.」

「型式認証とれなくて設計変更になったらどうするんですか?」

「全部改修することになります.」

「あ,は......」

 

「内部の人間(三菱でMRJ部門ではない人間)にとって,MRJってどうなんですか?」

「うーん,っと,関わりたくないですね.」

 

「そういえば今日,MRJの構造組み立て工場を見学させていただきました.」

「そうなんだ,へーあそこみたんだ.」

「そういえばすでに量産機つくってましたね.あれ,大丈夫なんですか?型式認証.」

「え?量産機つくってるんだwそれ初めて聞いた.驚いた.」

「内部の情報って部署違うとまわってこないんですね.テレビで初めて知るってやつですか?」

「そうそう.まあ,大規模な設計変更ないだろうし,一部に補強材当てるぐらいだから大丈夫だよ()」

 

「色々聞くとnksk研の進路が不明すぎなんですが,同期か先輩でnksk研行った人の就職先などご存知でしたら教えてください.」

「うーん,どこいったんだろ....しらない...」

「やはり重工系はないですよね.」

「多分ないね.」

 

「色々聞くとnksk研の進路が不明すぎなんですが,同期か先輩でnksk研行った人の就職先などご存知でしたら教えてください.」

「同期だとIBMとかどっかのセンサー系のベンチャーとかかな...」

「やはり重工系はないですよね.」

「多分ないね.」

 

「色々聞くとnksk研の進路が不明すぎなんですが,同期か先輩でnksk研行った人の就職先などご存知でしたら教えてください.」

「あー,ドクターに吸い込まれっていくイメージよw」

 

「皆さんマスターですか?ドクターへは行かれないんですか?」

「そうだねえ.うちはほとんどいないね.5年に一人くらい.(三菱重工の名航,名誘ではドクターの採用は5年に1人程度)」

「そうですか.ドクター行ったらどうなるんですか?ドクター行ったあとの将来が全くわからないのですけど...」

「わからないよ.僕もわからないから今ここにいるw」

 

軍事技術の話で....(国内の軍事ヘリの半分は三菱重工が生産)

「たしか残りの半分は川崎重工ですよね?」

「そうそう.ヘリコプターといえば川崎の印象があったから,三重はいってヘリ部門になったときはびっくりしたよね.」

「ところで三菱はなんで民間ヘリはやらないんですか?軍需できれば民用は楽だと思うのですが.」

「昔はやってたんだけどね....あの,ヘリ墜落事故で脊髄損傷したって言ってた人いたでしょ?あれ,試作機2機つくってて,1機目はうまく飛んだんだけど,2機目はローター吹っ飛んじゃって,田園地帯に墜落,いや,不時着か.あれね,前に2人,後ろに3人乗ってたんだけど,前の機長は亡くなってるの....」

「そうなんですか...」

「死者でちゃうと部署ごと吹っ飛ぶよねwwそれ以来民用は作ってないねぇ...」

「その技術者はそのあとどうなったんですか?」

「あー,それ?wそのまま名古屋で一番大変なMRJ部門に吸収されたよ.」

 

「MRJ興味あるの?」

「そこそこありますね.ただ,あれかっこ悪くないですか?」

「それ,人によって別れるよね.きれいっていう人も多いけど.」

「斜め下から見たらかっこ悪いん....」

「あー,わかる!ここらへんがむくっとしてるとこね!」

「はい,そこですそこですw」

 

「三菱航空機もそうですが,どうしてすぐ分社化するんですか?会計上の問題とかですか?」

「うちはその流れにあるねぇ...まあ,不祥事あったとき,そのままごそっと切れるからね.」

「トカゲの尻尾ですか...」

「あと,うち,企業規模大きいから,スタンプラリーしなくちゃいけないのね.何かしようとすると,いろんな人のスタンプをもらいに行かないといけない.分社化して小さくすれば,そこらへんの小回りは効きやすくなるんじゃない?」

「なるほど.スタンプラリーですかww分社化されると,会社間の異動ってどうなるんですか?頻繁に人間入れ替われるというか,流動的に動けるんですか?」

「うーん,うちはあまり動かなかも.たしかMRJも,籍は重工で航空機に派遣って人が多いいかも.」

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