学科旅行3日目は,岐阜県にある川崎重工業の岐阜工場を見学してきました.川崎重工の航空宇宙部門の工場は名古屋にもあります.
川崎重工の航空部門といえば,軍事用ヘリとP-1,C-2が有名ですが,軍需・民需航空機,ヘリコプタの生産,整備やH-ⅡA,Bロケットのフェアリング,自衛隊用ミサイルなども生産しています.
トップ画像は,JA2016国際航空宇宙展で川崎重工のブースで頂いてきたP-1,C-2のピンバッチです.
新しい建物から古い建物まで様々.新しい研究棟が現在建造中でした.富士重工,三菱重工にくらべて,“工場感”が強かったです.
工場裏に自衛隊基地が隣接しており,すぐ試験飛行できるのがメリット.さらに富士重工,三菱重工と違って気体の全機生産をしていることも特徴です.(三菱重工はMRJの開発が終了すれば全機生産を開始する予定.)
動翼とエンジンが取り外されたバラバラなT-4が10機程度整備を受けていました.エンジンはIHIで整備されます.
中には塗装を剥がされている気体も.塗装を剥がすことによって,内部疲労や亀裂などを見つけられるそうです.塗装を剥がすのは削るのではなく,機体にダメージを与えないように有機溶剤で溶かすようです.
T-4はそのインテーク形状に特徴があります.
下図のように,戦闘機はほぼまっすぐ飛ぶので,インテークは空気抵抗を減らすために尖っていることが多いです.
一方T-4は練習機であり,スピンしたり横滑り扠せたりと様々な動きをします.その横風条件でもエンジンに十分な空気を取り込めるように,インテークが丸みをおびています.
どこまで丸めるかは空力性能とのトレード・オフなため,数多くの形状で試験を繰り返したそうです.
飛行場ではP-1,C-2,BK-117,KC-767,C-130,CH-47などが見れました.
P-1はエンジン試験直前,C-2は納入直前の作業を行なっていました.
KC-767,もっと近くで見たかった....給油装備,どうなってるんだろ.
国家機密レベルの場所ですね.セキュリティレベルの高さを感じました.
C-2は,全機組み立てが行われていました.
塗装前の前胴,中胴,後胴が並んでました.
また,富士重工から納入された主翼と尾翼に動翼を取り付ける作業も行われていた.
主翼の上を作業員が歩いていて,以外と頑丈だなぁと.
それにしてもC-2はT-4に比べてはるかにでかい.C-2の水平尾翼はT-4の主翼よりでかいですから....
そしてC-2の洋上迷彩はかっこいい.
C-2の機体形状について,「艶めかしい(C-2)の曲線」と従業員が表現していました.
高翼機なため,胴体の上に中央翼をのせる形になっています.空力的な設計からその飛び出た翼をなめらかな曲面で結びます.なめらかなほど空力的にはいいのですが,構造重量は大きくなるので,構造と空力の落とし所を見つけるのが重要そうです.
気になったのは,C-2の背中の形状です.
一般的な航空機では,背中は一直線です.翼の部分で盛り上がってるのは中央翼であり,その後ろで下がるのは理解できますが,不思議なのはお尻.そこから上に反っているのです(下図参照).
担当者に尋ねてみましたが,はっきりとした回答を得ることはできませんでした.
フライトシミュレーターが3台ありました.全球型のものも.
ここで計器開発や操縦性の検証などを行なっています.
流速:M0.2~1.4,通風時間:10~120s,490kPaの貯気槽,max Re = 2x10^7の風洞がありました.他にも風洞はあるようです.
標準モデルですら数千万円する世界.精巧な模型は高いのです.ヘリコプタの風洞模型はローターが回転したりもするそう.
初期設計はCFDメインですが,その後はCDFと風洞実験の両輪で開発は進みます.その都度風洞模型を作り直すのはコストも時間もかかりそうですね.
構造は川崎重工が,プロペラなどはエアバス・ヘリコプターズ社開発製造しています.
日本国内では唯一民間ヘリコプタを製造していると記憶しています.三菱重工は軍用ヘリは製造していますが,開発機の飛行試験での不時着で機長(?)がなくなってしまってから民間機は開発・製造していません.
製造ラインには2機が製造中でした.
B-767,B-777,B-787のパネルを生産しています.オートリベッタがばりばり働いていました.
B-787のみ複合材で,残りはアルミ合金製です.スキン(外板)にストリンガを取り付けるなどしていました.
B-767,B-777は設計権がないのですが,B-787はあるようです.
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