事象発生日:2018-07-22
記事公開日:2018-08-23
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コアSSHの一環として,福井県教育総合研究所が主催した,福井県の中高生に “缶サット (CanSat)” と呼ばれる模擬人工衛星をつくる講座にメンターとして参加してきました.
中高生の若い脳による,発想力と実装力は凄まじくて,すごくいい刺激になりました.
コアSSHの一環として,世界の第一線で活躍する研究者と中高生の交流を目的として福井県教育総合研究所が主催した “缶サット (CanSat)” 講習会にメンターとして参加してきました.
7月21,22日の休日に,僕とM2の先輩が福井県に行き,缶サットを一緒につくり,
翌週28日に,そのM2の先輩と弊研究室の教授が福井県へ再度訪れ,成果発表会+コンペティション,という流れでした.
缶サットは,普通のお茶の缶の中を切り抜き,その中には福井工業大学の方が作ってくださったマイコン+センサボードの基盤を入れ,
パラシュートを取り付けたのが基本形.
それらに班ごとに工夫をこらし,ミッションをこなしていきます.
コンペティションではそれを気球であげて,上空50mから落下させます.
評価基準は,
落下時間を13秒にする(持ち点8点で,ずれた秒数マイナス) | |
着地時に直立できたら3点 | |
着地をトリガーとして,風船を割ることができたら2点 | |
各種センサの値を可視化し,落下中の状態などを説明できたら2点 |
の15点満点で評価されます.
落下のチャンスは2回,いい方の得点を採用します.
はじめに,研究室紹介や,缶サットが実際の宇宙開発につながっていることなどを,30分程度講義しました.
講義スライドは,
に載せておきます.
中高生にどのくらいのレベルで,どのくらいの内容を話せばいいのか,手探りなところもありましたが,
そこそこ好評だったので,よかったです.
6人ほどのチームに別れて缶サットを作っていきます.
最初にパラシュートのために,特殊な布を六角形に切り抜く工程があるのですが,
「おっきい六角形,きれいにつくるぞ~.まぁ,がんばれ~.」
みたいに,適当に放置していたんですよね.
そしたら,
紐でコンパスっぽく作図 | |
紙にコンパスで作図して相似拡大 | |
辺の長さ計算して定規で頑張る | |
分度器で頑張る |
などなど,5班全部で違うやり方で六角形を製図していて,こんなにいろいろなやり方があるのか,,,と単純に驚きました.
パラシュートを缶に取り付けたら,おもりをつけて開傘実験です.
福井工業大学の方が準備してくださった電装系を缶に装填します.
9軸センサに加え,温度,高度(気圧),照度にSDカードと,盛りだくさん.
着地と開傘衝撃に耐えられるかが,不安なところです.
衝撃が怖いので,ボードを缶に接着させる(衝撃がそのまま伝わってしまう)のではなく,スポンジで,いわば浮かせた状態にしました.
各班,思い思いに直立機構と風船割り機構を作っていきます.
みんなすごくて,
「こういうのどうだろう?」
「いいんじゃない!」
っていうと,あっという間に実装してしまうし,
気づいたらどんどんものが変わっていっていて,
溢れんばかりの発想力と,それを直ちにものにしてしまう実装力には感心するしかありませんでした.
見せらせたときにかなり驚いたのが,下の写真で,針をボールペンに仕込んだもの.
針そのままだと,気球で上げるときに風船が割れてしまったので,着地で針が出るように考えた結果,こうなったみたい.
いやぁ,すごいすごい.
気球で50m上空まであげて,フライト試験です.
ちゃんと直立するか,
風船は,着地のタイミングで割れるか,
指定された秒数で降りれるか,
確認しては修正を繰り返します.
ものづくりで一番面白いのはここかもしれませんね.
着地衝撃,ちゃんと対策しないと
電池は凹むし,基盤ははずれます.
やってみて初めて気づくことも多いです.
センサのデータ保存のサンプリング周波数がそこまで高くはありませんが,
高度とか,パラシュートの開傘とか,機体の回転とか結構分かるものです.
取得データの一例として,以下にテストフライトのデータを載せておきます.
グラフで高度がふわふわしているのは,気球で50m上げるときになかなか安定しなかったからです.
上昇気流を捕まえられるとすんなり上がるのですが,風が強いとなかなかうまく上がらないものです.
さらには拡大グラフから,322s付近で落下開始,323s付近で開傘,といったことも推定できます.
というか,温度上がりすぎだろ.... ι(´Д`υ)アツィー
ちなみに,このときは着地衝撃以降はデータが保存されていませんでした.
まず,若い脳みその発想力と実装力にただただ感服しました.
こういう若い人からもらえる刺激,定期的に補充したいですね.
現地に行ってから知ったんですが,この企画はコアSSHの一部だったようです.
僕もコアSSHには高校時代に,経験という点でも金銭的な面でも大変お世話になりました.
多少は恩返しできたかなと思います.
翌週のコンペティションには,僕は行くことができなかったのですが,
様子を聞く限り好評だったようです.
やはり,風船割りと直立の両立はむずいみたいですね.
それにしても,みんなやる気に満ちていて,そして楽しそうでよかったです.
どうやら,福井新聞にも取り上げられたみたいですね.
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