事象発生日:2019-07-27
記事公開日:2020-03-01
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今年度も,福井県教育総合研究所と協力し,福井県の中高生に “缶サット (CanSat)” と呼ばれる模擬人工衛星をつくる講座を行ってきました.
今年のお題は,なんと2機の缶サットを使ったミッションです!
宇宙工学・宇宙産業に力を入れている福井県の要請もあり,福井県の中高生に向けて,缶サット作りの講座を毎年開催しています.
中高生向けなため,複雑な電子系は製作せず,もっぱら構造で勝負する缶サットを,計3日で作って競技してもらいます.
今年の日程は,7月20, 21日に製作・テストフライト,27日に競技本番です.
今年のお題は,前回から大幅にバージョンアップさせ,(僕の研究テーマが人工衛星のフォーメーションフライト(衛星編隊飛行)であったりするので)なんと2機の缶サットを用いたミッションにしました.
得点表は次のとおりです.
時間差着陸 2機の缶サットが5秒差で着陸すること.1秒ずれることに持ち点20点から5点減点. | |
2機間着陸距離 2機の缶サットの着陸距離が離れるほど高得点.3mにつき2点. | |
空中撮影 空中で他方の缶サットのパラシュート(の25%以上)を撮影すること.1秒につき2点. | |
空中分離 放出時にくっついている缶サットが空中で分離できれば10点. | |
注意 2機合わせて放出筒に収まること. 2機ともパラシュートで安全に着陸させること. 30秒以上のフライトは1秒ごとに1点減点. |
このお題の下で,中高生がその柔軟な発想力と実装力でどんな缶サットを作ってくれるのか,楽しみです.
研究室で開発している超小型衛星の話や福井県民衛星の話,そして,宇宙工学を志している学生も最初は缶サットから始めたんだよ,などといった講義を行いました.
全6チームに分かれて製作開始です.
どんなふうに作っていこうか?
着陸時間にも距離にも,パラシュートは大事だね.
発泡スチロールを切って,パーツにしていきます.
片方にモーター乗っけて,遠くまで飛ばす?
紙飛行機に乗っけちゃう?
いや,,,飛ばなかったね...(残念)
いいねぇ~.
う~ん(悩み中)
これはすごい.
バネを使って2段階で羽が開く機構.
そしてピンが抜けて,中から子機も出てくる仕様.
気球を上げてのフライトは,ヘリウムも使って大変なので,まずは体育館で.
放出筒に詰めて...
上げて...
落とす!
うーん,分離してくれなかったか?
ちゃんと動画を撮って記録するのは大事.
思い通り行かない?
ちゃんと分離されたね!
NHKが取材に来てました.
どうせなら,競技日に来ればよかったのに....
この日のニュース.
良いこと言ってますね~.
2日目は外でもテストフライトをやりました.
楽しそう.
飛びすぎて駐車場の方へ....
だからフライト時間は30秒以内,って言ったでしょ?
さて,製作日から1週間あけて,競技本番です.
先生方は気球の準備.
いいお天気です.
最後の調整を終えた生徒も出てきました.
チャンスは2回のみ.
パラシュートをしっかり畳んで.
分離機構の分離ピンのセットもOK!
ちゃんと自重を支えられる程度にはくっついてますね.
どれどれどうだった?
ああ,,,飛びすぎて引っかかっちゃいましたね...(笑)
(このあとしばらくして落ちてきた.)
おお,2機間距離,なかなか良さそう?
空撮もばっちりだね!
まず,各班ごとに,
どういうものをどういう意図で作ったのか | |
工夫したところ | |
結果は想定通りだったか | |
課題は何が残ったか |
などをまとめてもらいます.
そして,各班発表.
分離機構,カメラ配置,戦略,パラシュートの絡まり防止,,,などなど,アイデアあふれる発表でした.
最終的な結果はこうなりました.
うーん,,,
2機間の距離差で圧倒的な得点を獲得したB班が優勝.
これは得点設計というか,ゲームバランスというか,ちょっとミスりましたね...(反省)
優勝チームの表彰です.
こちらは,2段階の翼展開機構と百発百中の分離機構を作ってくれた班に,特別賞を贈呈しました.
この機体の翼,なんと風見安定もとれてたんですよね.本当にすごい.
今回は,2機を使ったミッションということで,難易度も高かったかもしれませんが,皆さん懸命にとりくみ,そしてなにより楽しそうでよかったです.
次のステップとして,缶サット甲子園などを見据えた電子系の講座も行う予定ですので,そちらの様子もこのブログでお伝えしていければと思います.
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