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今日から修士論文休み

事象発生日:2019-11-01

記事公開日:2019-11-02

アクセス数:4610

所属研究室では,修士2年の11月から修士論文休みに入る.

これは何かというと,今までサブシステムの長として引っ張ってきた研究室プロジェクト(すなわち人工衛星 / 宇宙探査機 開発)の最前線から離脱し,卒業するための研究に没頭する期間,である.

ある種の節目なので,ここに現在の心境などを書き記しておく.

1.研究室プロジェクトからの開放

所属研究室の学生は,大学関連ではその6, 7割を研究室プロジェクト(現在は,新宇宙探査機 EQUULEUSの開発)に自らのリソースを割く.

しかも,M2はその中心的役割を果たすので,まあ研究が進まない.

 

研究が進んでいない,D進(博士進学)を見据えてきちんとした成果が欲しいという焦燥感がありつつも,シッピングを間近に控えた開発の最終盤で戦線を離脱するのは,ちょっと歯がゆい気持ちがある.

僕はC&DH (Command and Data Handling) 系を取りまとめてきたわけで,つまり搭載ソフトウェアの全責任を負っていたわけだが,最後のブラッシュアップする部分をきちんとコントロールしたかった,というのは本音である.

 

今日まで,プロジェクトのリポジトリ(masterのみならずすべてのbranch)のコミットログを確認し,リポジトリの治安維持をすることから一日が始まっていたのだが,これからどうしようか.

リポジトリを覗きたくもなるけれど,修論に集中することを考えると,一旦忘れたほうがいいのかもしれない.

 

 

今まで一番いじっていたのはこいつ.

OBC (On-Board Computer),つまりメインコンピュータ.

詳細なスペックなどは,今年の6月に発表した学会の予稿でも参照してもらうとして,いろいろスペックが低いので大変だった.

宇宙用なので仕方がないんだけれども.

メインのポートは51ピンx2で,これらにもろもろをつなげてクリーンルームにこもるのは,今でもあまりやりたくない作業.

 

FM(フライトモデル)にも関わらず回路修正などが入ったりして,後付されたセラミックコンデンサがででんとくっついてるのは,今でも笑えてしまう.(最終振動試験,無事耐えてくれ.)

そこまでガッツリとはコミットしていないが,一応担当の一部だった推進系制御基板がこれ.

こちらの回路は内製なので,うさぎのシルクも入っていたりする.

あとは,慢性的な人材不足から,修士1年頃から通信系にも所属することになった.

もちろん,アナログ回路や無線工学はそこまで詳しくないので,設計などではなく,主に試験要員であったが,おかげで内之浦での適合性試験などいい経験はできた.

 

 

ちなみに,今日現在のEQUULEUSはこんな感じ.

最終組み上げ中.つまり,ハードウェア的にはあとちょっとで確定.完成.

 

こう見ると,やっぱ人工衛星ってハーネスやばい....

そしてこれらは,SLSやEQUULEUS関連ステッカー.

一番最初のEMが書かれたステッカーを持ってなかったらしい....

そういや,今年は僕は特に何もしないけれど,明日からISAS(JAXA 宇宙科学研究所 相模原キャンパス)の一般公開があるらしいですね.

EQUULEUSもブースを出しているので,ステッカー貰いに行ったり,もろもろを眺めに行ってはいかがでしょう?

 

2.最近について

最近は割とよくって,先月無事内定式を終え,また年明けのスタンフォード大学への短期留学も決まり,数ヶ月前に出していた人生初の英語ジャーナル投稿論文(といいつつも日本航空宇宙学会のジャーナルなのだが)のレビューが指摘は多いものの肯定的なコメントを添えて返ってきたり,とまずます.

 

4月に出したSSC (Small Satellite Conference) のアブストがリジェクトされてしまったのが(確かにビジネスや実ミッション向けの学会とはいえ)残念だったけれど,今は次の国際学会へ向けてDraft Paperを書き進めている.

Full Paperは4ヶ月以上先なのにも関わらずExtended Abstractですらなく,ほぼFull Paperを求められるのが学生の時間スケールから見ると酷であり,「まだここは結果が出ていないけれど...」みたいな部分がちょこちょこあるのだけれど.

なににせよ,提出がもうすぐなので,急がなくてはいけない.

数少ないアメリカ以外での学会なので,制御分野のかなり広くて大きい学会なので,本当に行きたい.

 

 

あとは,来年度からお世話になるCookpadに,また出入りしている.

内定も決まったし,いろんな社員らと関わりを深めていきたい.

 

雰囲気は良いし,全員料理できるし,社内で適当にご飯つくれるし,今の業務も好きなようにやってよいし,とてもよい.

 

 

2年前には想定もしなかった進路だけれど,自分にとてもあったところが見つかって,とても幸運であった.

3.修論休みの過ごし方

前々から決めていたことがある.

修論休みでプロジェクトから開放されたら,毎日7時に起きて,19時に大学を出る.

そして家に返ったら自炊して,自分で作ったご飯を食べる.

 

修士に入り,大学からの帰宅は終電になることが日常となった.

それに伴い,ご飯は大学近辺で食べるようになった.

忙しいと昼食を抜くことも多かったし,コンビニ弁当ははっきり言ってまずいし,外食は揚げ物や塩分が多くて嫌になる.

 

なんとなくだが,朝昼(弁当持参)晩と3食自炊していた学部時代に比べて,体の調子も悪くなって気がしていた.

自炊だと,自分の体が欲しているものを食べれるのがいいんですよね.

 

 

2年前の卒論のときもそうであったように,自炊を中心とした食生活へ戻すことを強い制約としたい.

4.修士研究 / 修士論文

D進する人間にとって,修士論文ってどういう意味を持つのだろうか?

自分の研究の場合,どう見ても博士論文への中間でしかない.

 

どこまでやれば修論となるのか,修論という体裁を保てるのか?

よくわからない.

 

最近思うのは,とりあえずこの修論休みでしっかり研究を進めて,国際学会に2本ぐらい出せる結果が出ればいいなぁ,ということ.

まあ,そんな希望をたらたら述べていないで,今までサボってきた研究を進めましょう.

 

 

修士1年では1mmも進まなかった研究だが,実はここ数ヶ月,若干の進捗があった.

今までシミュレーションベースでやってきたものの限界を感じ,実験をやりたくなったのだが,現在の研究室には実験をやる人もノウハウも機材もなかった.

 

それが,教授や助教の手助けや支援,また他研究室やお世話になっている他大の先生らの協力やサポートによって,願ってもない実験環境が整いつつある.

いろいろなメーカーや代理店らと何度も打ち合わせをし,見積もりを取り,実験にはお金がかかることを痛感した1年でもあった.

自ら研究費を取る能力のない学生であって,先生方には頭が上がらない.

 

しっかり成果をださねば,と思っている.

5.出典

EQUULEUS – From Japan to EML2. Retrieved November 1, 2019, from https://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/equuleus/
ISTS Web Paper Archives. Design and Development of Low-cost and Highly Reliable C&DH Subsystem for Deep Space Nano Satellites. Retrieved November 1, 2019, from https://archive.ists.or.jp/?s=&author=&theses_id=2019-f-33&year_start=2019&year_end=2019
ISASニュース. 2019年10月号(No.463). Retrieved November 1, 2019, from http://www.isas.jaxa.jp/outreach/isas_news/files/ISASnews463.pdf

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