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【写真】HDR合成は夜景の水面と相性が悪そう

事象発生日:2019-11-05

記事公開日:2019-12-30

アクセス数:3697

学会で訪れていた徳島で,夜のライトアップされた橋をHDR合成していた.

そこで,水面に明滅する像はHDR合成にとってはよろしくなさそう,ということに気づいたので,かんたんな備忘録を.

水面のHDR合成

問題の写真がこれ.

ともに,ライトアップされた橋が水面に映っている.

ここで,水面に映った部分を拡大してみると,こうなる.

あ~.

街灯はふにゃふにゃとなり,LEDは中心が抜け,中空になっている.

 

ちなみに,どちらもFUJIFILM X-T3で三脚を用いてAEブラケット撮影したRAWファイルを4枚程度,LightroomでHDR合成したものである.

 

 

原因は,HDR合成の仕組みを考えれば,想像がつく.

HDR合成は,擬似的にダイナミックレンジを広げるため,露出の異なる複数枚の画像を合成する手法である.

具体的には,白飛びした部分は露出アンダーな画像から,黒飛した部分は露出オーバーな画像から採用し,画像全体に渡って適正露出に近い画像を再構築する.

 

これを踏まえると,明滅する光源が中空になるプロセスがこのように説明できる.

基準となる画像(基準露出画像)に光源が写っているとする.この時,像はその中心が最も明るく,像の縁へむかって輝度は減少すると考える.
基準露出画像では,像の中心部分周辺は白飛びしており,像の縁は適正露出内に収まっている.
すると,HDR合成の過程で,像の中心部分は露出アンダーな画像から抽出してこようとする.
しかし,光源は明滅している場合,アンダーな画像では光源が点灯していないことがある.
そうすると,アンダーな画像から抽出した画像には光源は写っていない一方で,像の縁部分は基準露出画像が残り,中空像が出力される.

 

夜景の場合,たちが悪いことに,露出オーバーな画像はシャッター速度が遅く,アンダーな画像はシャッター速度が速い(ISO,F値を揃えて撮る場合が多いため).

すると,オーバー側の写真が明滅する光源の明を捉える確率は,アンダー側のそれよりも大きくなるので,このような減少はよく起こると思われる.

 

 

電柱の水面反射像がふにゃふにゃになっているのも同様で,違いは像が明滅するのではなく,水面の波打ちに伴って,反射位置が変わることである.

そのため,オーバー側の画像での反射像は中空像となり,アンダー側の反射像はそのまま残る,といった現象が見受けられる.

 

 

はやり,HDR合成は撮影対象が静的であることが前提であるので,シャッター速度を稼ぐしかなさそう.

ただ,それは夜景撮影とは相反してしまう.

長時間露光したいし,光芒出す場合は絞るし.

 

それか,アンダー気味の写真のシャドーを持ち上げた方がましかも.

まあノイズが増えちゃうんだけど.

 

 

ダイナミックレンジ,欲しい...え?,フルサイズ買えって...??

 

個人的に,写真は画素数よりもダイナミックレンジの方が重要だと思うので,各社はこれ以上ピクセル数をあげなくていいです.

代わりにSNを上げて,ダイナミックレンジを上げてください....

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