学会で訪れていた徳島で,夜のライトアップされた橋をHDR合成していた.
そこで,水面に明滅する像はHDR合成にとってはよろしくなさそう,ということに気づいたので,かんたんな備忘録を.
問題の写真がこれ.
ともに,ライトアップされた橋が水面に映っている.
ここで,水面に映った部分を拡大してみると,こうなる.
あ~.
街灯はふにゃふにゃとなり,LEDは中心が抜け,中空になっている.
ちなみに,どちらもFUJIFILM X-T3で三脚を用いてAEブラケット撮影したRAWファイルを4枚程度,LightroomでHDR合成したものである.
原因は,HDR合成の仕組みを考えれば,想像がつく.
HDR合成は,擬似的にダイナミックレンジを広げるため,露出の異なる複数枚の画像を合成する手法である.
具体的には,白飛びした部分は露出アンダーな画像から,黒飛した部分は露出オーバーな画像から採用し,画像全体に渡って適正露出に近い画像を再構築する.
これを踏まえると,明滅する光源が中空になるプロセスがこのように説明できる.
基準となる画像(基準露出画像)に光源が写っているとする.この時,像はその中心が最も明るく,像の縁へむかって輝度は減少すると考える. | |
基準露出画像では,像の中心部分周辺は白飛びしており,像の縁は適正露出内に収まっている. | |
すると,HDR合成の過程で,像の中心部分は露出アンダーな画像から抽出してこようとする. | |
しかし,光源は明滅している場合,アンダーな画像では光源が点灯していないことがある. | |
そうすると,アンダーな画像から抽出した画像には光源は写っていない一方で,像の縁部分は基準露出画像が残り,中空像が出力される. |
夜景の場合,たちが悪いことに,露出オーバーな画像はシャッター速度が遅く,アンダーな画像はシャッター速度が速い(ISO,F値を揃えて撮る場合が多いため).
すると,オーバー側の写真が明滅する光源の明を捉える確率は,アンダー側のそれよりも大きくなるので,このような減少はよく起こると思われる.
電柱の水面反射像がふにゃふにゃになっているのも同様で,違いは像が明滅するのではなく,水面の波打ちに伴って,反射位置が変わることである.
そのため,オーバー側の画像での反射像は中空像となり,アンダー側の反射像はそのまま残る,といった現象が見受けられる.
はやり,HDR合成は撮影対象が静的であることが前提であるので,シャッター速度を稼ぐしかなさそう.
ただ,それは夜景撮影とは相反してしまう.
長時間露光したいし,光芒出す場合は絞るし.
それか,アンダー気味の写真のシャドーを持ち上げた方がましかも.
まあノイズが増えちゃうんだけど.
ダイナミックレンジ,欲しい...え?,フルサイズ買えって...??
個人的に,写真は画素数よりもダイナミックレンジの方が重要だと思うので,各社はこれ以上ピクセル数をあげなくていいです.
代わりにSNを上げて,ダイナミックレンジを上げてください....
名前
Email (※公開されることはありません)
コメント