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【CanSat】缶サット甲子園を目指す高校生向け電子系講座 2021年度版 @福井

事象発生日:2021-02-14

記事公開日:2021-02-23

アクセス数:3948

今年も,缶サット甲子園への出場を目指す福井県の高校生チームらに,電子工作の基礎を教えてきました.

2日間で,回路とプログラミングの基礎,そして製作まで行うという,相変わらず強行スケジュールに加え,このような状況なので我々は東京からリモートという,なかなかの厳しい状況でした.

 

一方で,これまで開発してきた缶サット開発キットを改良したこともあり,去年に比べてスムーズな進行となったような気がします.

1.概要と経緯

宇宙工学・宇宙産業に力を入れている福井県の要請もあり,缶サット甲子園への出場を目指す高校生らに,電子工作の基礎講座を開講しています.

今回の電子系講座で行ったことは,

缶サット,衛星開発についての講義
センサ・アクチュエータ,マイコンなどについての講義と動作テスト方法の実習
ミッション立案
回路の基礎講義と作成実習
プログラミングの基礎講義と作成した缶サットへの実装
動作試験

です.

 

ちなみに,2020年度の様子は,以下に記載しています.

いつもどおり,

GitHub:高校生向け缶サット開発キットと資料 (https://github.com/meltingrabbit/CanSatForHighSchoolStudents)

で公開している缶サット開発キットを用いて講義を行いました.

今年は,回路設計をより簡単にするため,マイコンのほぼすべてのピンをストレートに全部の階層の基板に接続させる構成としました(PC/104のようなイメージ).

このようにすることで,

すべての階層に同じマイコンのピンが出ているので,順番を変えたり,覗いたりしてスタックして使える.
マイコンとの接続は共通なため,それぞれの階層を独立して設計・実装ができる(複数人で同時に作業しやすい).
マイコン層ともう1つの層の2つから動作確認ができる.

といったメリットがありますが,空間充填率はすこし犠牲になります.

 

今回準備した缶サットはフルスペックでこんな感じ.

先述のような設計にしたため,好きな層をスタックして使えます.

使っているセンサ・アクチュエータは,

Arduino Nano Every
カメラ
光センサ
9軸センサ
気圧計(高度計)
GPS
温湿度計
無線通信機 (XBee)
サーボモータ
DCモータ
SDカード

で,それぞれの班のミッションに合わせて,3,4個のセンサ・アクチュエータを選んでもらって,実装していきました.

 

今回の電子系講座の続編である構造系の様子はこちらです.

2.リモートによる講座の様子

講座のだいたいの流れや様子は去年とほぼ同じなので,その時のものを参照してもらうとして,

今回は,リモート講座という,自分でも初の試みだったことについて,書きたいと思います.

 

福井の各地の高校,全8高から参加(1班4人ほどで,全32人ほど)してくれました.

生徒の皆さんは,こんな感じで作業してもらい,講師となる僕ともうひとりは東京からのリモート参加です.

現地には,福井県教育総合研究所の方々や,弊研究室OBで現福井大学准教授の青柳先生がスタンバイしていただきました.

事前に講義資料や缶サットの作り方は共有してあり,僕らの方で講義などを行い,実装時に何か困ったことがあれば,その都度個別でZoomをつなぐ,という運用をしました.

 

また,東京からソースコードを見たり,手を加えたりできるように,Google Remote Assistantを予めすべてのPCに入れておきました.

 

 

下の画像は,はんだ付けや基板実装などについて教えてるときのキャプチャです.

全体画像用に,換算50mm程度,そして手元用に換算75mm程度の等倍マクロがあれば,基本的にはオンラインでも電子工作を配信できることがわかりました(笑)

(まあ現実的には,相手側のネットワークの品質に大きく依存してしまうのですが...)

上のスクショの回路図は,実は電圧が間違っているのですが,GitHubに講義資料を展開していると,リアルタイムで修正できていいですね.

 

 

リモートで大変だったこと,イマイチだったことは,

生徒のPCのスペックが悪いと,リモート操作などが厳しい.
ネットワークの品質が悪いと,カメラ越しに映る回路の確認が極めて困難.
ヘルプがあったらZoomをつなぐ,という方式だと,こちらから様子を伺いづらい.
ヘルプが解消されたら通話をきって次のヘルプ対応をする,といったワークフローだと,その作業を事務的にこなすようになり,いつもだと発生している雑談的なコミュニケーションが生まれにくい.

でしょうか.

3.最後に

入念な準備のおかげか,特に大きな問題なく終われたのは,とても安心しました.

小さな問題としては,まあアドバンスドな用途向けに用意していた無線通信機が人気で,そしてそのドライバのインストールが権限の問題ですごい手間取ってしまった,とか,

回路のデバッグで,リモートなので僕らがテスタを当ててあげてチェックするなどと言ったことができずに全然原因の切り分けが進まなかった,とかはありました.

 

この講座は,2日で回路の基礎から簡単なプログラミングまでやる,という,生徒にとってはすごく負荷の高い講座だとは思いますが,毎年みんな頑張ってついてきてくれるのが,本当にありがたい限りです.

毎年毎年,改良を重ねていき,もっともっとよいものにしていきたいと思います.

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