事象発生日:2023-10-18
記事公開日:2023-11-14
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先月富山で行われた,第67回宇宙科学技術連合講演会という国内最大規模の宇宙工学系学会において,『ソフトウェア技術による衛星開発・製造・運用におけるインターフェース調整コストの低減』という題目で口頭発表を行いました.
これは,アークエッジ・スペースが主催する「国産CubeSatのコンステレーション構築に向けた研究開発」というセッションの1発表です.
発表内容を一文で紹介すると,「多種類・複数機の人工衛星の開発・製造・運用では煩雑なインターフェース調整がコストの増加に繋がっているため,ソフトウェア技術やオープンソースソフトウェア (Open Source Software; OSS) 化・標準化を駆使して,衛星のインターフェース調整コストを低減しようとしている」というものです.
トップ画は私の発表の様子です.
発表内容については,ArkEdge Space Blog の『【学会発表】ソフトウェア技術による衛星開発・製造・運用におけるインターフェース調整コストの低減』である程度詳しく書いたので,そちらを参照してください.
ここでは裏話的なことを少しだけ書こうと思います.
発表スライドはこちらです.大急ぎで作ったので,文字が多い....
宇科連は,学会なのにもかかわらず,なぜか写真撮影が禁止です(どうやら肖像権を気にしてる?).
我々はコミュニティを作りたいと思っていますし,さらには OSS の話をしているので,むしろ「がんがん写真をとって拡散してくれ!」という気持ちです.
というのもあり,(運営に断りを入れた上で)スライドにでかでかと「Photo OK」のアイコンを入れ,発表前には「この発表は全スライド写真撮影 OK です! 撮った写真も煮るなり焼くなりご自由にお使いください.」とお伝えしました.
すると,皆さん撮ってくれるものですね(めっちゃ撮られた).
「写真は OK だけど,黒歴史になっちゃうので,動画は NG で!」というネタでよいつかみもできました(笑)
明日,宇科連で発表するのですが,宇科連の各会場には写真撮影 NG の注意書き掲示があり(なぜ?...),先程自分のスライドには「写真 OK」アイコンを入れました. 私の発表はすべてのスライドが撮影 OK です. pic.twitter.com/0EUbFkhujE
— 溶けかけてるうさぎ (@_meltingrabbit) October 17, 2023
今回は発表内容そのものについては,まあのっぺりしていて面白みに欠ける(?)ことや,アークエッジ・スペースがアカデミアに対してセッションを組んで発表する初めての場であったことなどから,どういうプレゼンをするか,直前まで 悩んで 考えてませんでました.
せっかくなので,アークエッジ・スペースのソフトウェア部のポリシー(行動原理)やゴール(スライド p.7, 8 あたり)について詳しめに説明し,さらにこだわりを持っている「開発体験」の話をしようと決めました.
開発体験,といえば,近頃のアークエッジ・スペースでは Rust エコシステムやソフトウェア技術を用いて,組み込みソフトウェアの生産性や自由度が飛躍的に向上していました.
「じゃあ,マイコンも手元にあるし,開発体験のデモをしよう!」というわけで,前日の夜,宇科連で再開した仲間たちとひとしきり飲んだ後,夜な夜なホテルで準備し,デモを強行しました.
current status...
— 溶けかけてるうさぎ (@_meltingrabbit) October 17, 2023
デモ準備できたので,明日の宇科連発表ではデモします!!! pic.twitter.com/yu0ZIODBJ2
デモ内容はこんな感じ.
開発環境の立ち上げ(今回は WSL を用いた.Linux もサポート.). | |
コマンドで搭載ソフトウェアをシミュレータ用にビルドし,シミュレータ上で実行.模擬地上局を用いて通信疎通を確認. | |
コマンドで搭載ソフトウェアを実機用にビルド,STM マイコンに書き込み,実行.模擬地上局を用いて通信疎通を確認. |
STM マイコンによる組み込み開発を,CubeIDE などを一切使わず, VS Code だけで行っていきます.
STM マイコンへの書き込み & 実行も,(マイコン無しでのソフトウェア検証のための)シミュレータ用ビルド & 実行でも,ともにcargo run
コマンド一発で完了し,ソフトウェア開発ができることを示しました.
ちょうど,アークエッジ・スペースは Rust をめっちゃ有効活用していることの宣伝にもなってちょうどよかったですね.
今回はこれまでの宇科連の中で,もっともたくさんの方々とお会いできました.やはり,「宇科連は宇宙業界の同窓会」ですね.
また,発表自体もなかなか好評で(聴講者が会場(といっても小さな部屋だが)に入りきらなかった),会場でも,学会後の様々な場所でも,たくさんの方々からコメントいただけました.ありがとうございます.
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