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【学会】Small Satellite Conferenceに参加してきた

事象発生日:2018-08-09

記事公開日:2018-08-13

アクセス数:6934

世界最大の小型衛星の国際会議であるSmall Satellite Conference (SSC) に参加してきました.

これは,学術発表のための学会だけではなく,企業もブースを出すビジネスカンファレンスという側面もあります.

 

近年の小型衛星業界の潮流が体感できる,とても良い期間でした.

1.Small Satellite Conference

Small Satellite Conferenceは,毎年ユタ州ローガンのユタ州立大学で開かれる,小型衛星(~100kg)界隈で最大の学術大会 兼 ビジネスカンファレンスである.

今年のテーマは "Delivering Mission Success" であり,から本学会の概要を抜粋しておく.

The growth of small satellites has been fueled by the promise of shorter development cycles, lower cost, new technology, and more frequent access to space. As on-orbit results pave the way, small satellites are increasingly being considered for critical, high-value missions. These are taking the form of emerging applications with highly constrained payload requirements, new system architectures that seek operational resiliency, and numerous other user-driven conditions for availability. With affordability and responsive timelines being a classic imperative for small satellite missions, appropriate technical and programmatic approaches must match these expectations. Developers are now seeking innovative ways to increase the odds of mission success by employing diverse design techniques, autonomy methods, and streamlined processes that help identify and mitigate potential issues. However, a balance must be found between lessons learned and new concepts that achieve mission success.

 

During the 32nd AIAA/USU Conference on Small Satellites, we will explore the new technologies, design methods, processes, operational constructs, and activities that inform and secure the success of small satellite missions.

 

プロシーディングと発表スライドはで閲覧できる.

 

講演プログラムは以下.

講演プログラム [205,154 byte]

講演プログラム(ミラー) [205,154 byte]

2.学会の流れ,行動記録

内容などの詳細は「」の記事に譲るとして,ここでは時系列で行動記録を残す.

2018/08/03

成田国際空港 → サンフランシスコ国際空港 → ソルトレイクシティ国際空港 と飛ぶ.

ユナイテッド航空,狭いし,飯まずい....

 

ソルトレイクシティからローガンまで,レンタカーで2時間ほど移動し,宿へ.

今回はSuper 8 by Wyndham Loganで宿泊.

2018/08/04

学会会場で支給される朝食をとり,受付で登録.

朝食と昼食は学会会場でバイキング形式で提供される.

受付では大量の企業からのチラシとグッズ,さらにSSC公式ロゴ入りのブランケットが配布された.

日本に持って帰るのめんどくさいんだけど....

朝食
昼食

 

土日開催の最初の2日間はPre-Conference Workshopとして講演が行われるので,それを聞く.

Pre-Conference Workshop

 

夜な夜な,ホテルで東京大学ブースの展示品の組み立てを行う.

EQUULEUSのアンテナモデルに印刷したCADモデルを貼る.SAPはプラバンで挟むことで光沢を.

2018/08/05

東京大学ブースを設営する.

 

今年は,研究室のSmall Satsの開発の歴史をメインに展示した.

東京大学ブース

 

午後は,前日に引き続きPre-Conference Workshopの講演を聞く

Pre-Conference Workshop

2018/08/06

学会本番開始.

 

基調講演や各種発表を聞いたり,企業ブースを徘徊したり.

メイン会場は1つだけれど,周りの建物ではSide Meetingと称してこじんまりとした発表も行われている.

基調講演 (by Dr. Thomas Zurbuchen)
Side Meeting.ランデブ/ドッキングの標準化について

 

Opening Socialと題して,懇親会のようなものが大学内の広場で行われた,

地ビールとワイン美味,それに肉がおいしかったです.

Opening Social
アルコールパス
酒とワインうまい

2018/08/07, 08

講演を聞き,大学ブースでは来場者にいろいろ説明し,また企業ブースを回って情報を収集するなど.

発表は圧倒的にアメリカが多かった.

アメリカ,超小型に毎年数百億円投入しているだけあって,ばんばん上げている印象.

 

日本の発表者もそこそこいた.ImPACTのSARの話題が多い印象.

Canon電子の衛星もかなり注目を浴びていた.

 

学生セッションでは,シミュレーション結果と軌道上実証をあわせたものがいくつもあったのが印象的.

Technical Session

 

ちなみに,東京大学からは,SLS EM1 Secondary PayloadsミッションのEQUULEUS開発状況について発表.

発表はPMが行ったが,プロシーディングの方は一応共著に入れてくれたっぽい.

 

Flight Model Design and Development Status of the Earth - Moon Lagrange Point Exploration CubeSat EQUULEUS Onboard SLS EM-1

PMによるEQUULEUS発表

「PMとして一番たいへんだったのはミッション名を決めることだ」と笑いを獲得していた.

直前で "EQUULEUS" と発音するのに詰まるのがポイントらしい.

 

 

NASAブースではSLS関連の展示も.

大学ブースは東京大学以外すべてアメリカの大学.

SLS EM1 Secondary Payloads関連.EM-2は最大27Uまで上げれ,さらに個数も40以上いけるらしい.
SLS EM1 Secondary Payloads関連.13機の放出機構.
東大ブースのとなりのMorehead State Universityはunar IceCubeを.

 

企業ブースでは,世界の動向を感じたり,またCubeSat用のOBCの調査をした.

個別の日本企業ブース以外にも, "Japan Booth" なるものが開設されていた(が,かなりしょぼい....)

企業ブース
超小型姿勢制御基盤
通信系コンポ付OBC
Japan Booth.ImPACT SARがメインか?

 

あとはまぁ,お昼ご飯とか.

うまかったりまずかったり.

昼食

2018/08/09

学会最終日.

午後はブースの撤収など.

 

ソルトレイクシティへ車で戻るついでに,グレートソルトレイク湖にあるAntelope Island State Parkを観光.

2018/08/10, 11

トランジットの合間に,ロサンゼルスのSpaceX本社においてある,最初に再着陸に成功したFalcon 9の一段目を観光.

帰りのANA便は快適だった.

3.所感

アメリカが巨額の予算をCubeSatにつけてるせいか,いろんな大学がどんどんCubeSatを上げている印象をもった.

 

我々も,超小型なのだから,低コスト,低リスクマネジメント,そして低工数でバンバンあげて,どんどん技術実証していきたい.

個人的な理想では,1.5年で開発,0.5年で実証,という2年パッケージを回していきたい.

 

我々の研究室では,4年もかけてEQUULEUSという深宇宙探査機を開発している.

超小型でDeep Space,さらに理学探査も,というのはインパクトは大きいが,システムが複雑になりすぎる.

また,時間をかけすぎるのも良くないと感じる.

他産業(とりわけIT産業)のように,開発から実証,検証までクイックに回したい.

 

 

アメリカがどんどん超小型を作っているせいか,衛星のコンポーネント化が一層進んでおり,またコンポ企業,インテグレート企業などがたくさんあった.

とりわけ,HaWK(太陽電池パドルとその回転機構.SAP+SADA)のMMA社とXACT(姿勢制御ユニット.SST+RW)のBCT社の存在感がすごかった.

EQUULEUSだけでなく,これらを積んだ衛星は多く見られた.

MMAのSAPとBCTのXACT買ってきて,くっつけて,あと適当にやればCubeSat完成! みたいな.

 

まぁ,まだコンポをつなげて終わり,って段階ではないが,この先この流れは加速すると強く感じた.

Integratorのままであれば,研究室として生きていけないんだろうな,と.

 

EQUULEUSについて言えば,制御はXACTに丸投げであるし,理学観測のために搭載している3つの観測機器も研究室外.

唯一の工学実証のための推進系も他研究室である.

研究室としては,軌道設計くらいしか実証ポイントがない気がする.

 

Deep Spaceのための探査機をインテグレートできることも,ある種強みではあるが,個人的には最初に述べたように,LEOでいいので2年サイクルくらいで制御ロジックなど工学実証をやっていきたい.

言い方を変えると,衛星バス部の組み立てについては,研究対象として先があるとは思わない.

 

現在の開発体制を大学の研究室として続けるのか?

続けていても未来は厳しいと思う.

EQUULEUSではHaWK,XACT以外にも外注しているものもあるが,その “バグ取り” を学生がやっているような構図が多々見られる.

何を外注して,何を自前でやるか.それを納期などの制約のみで決めるのではなく,一度整理し,どこに集中するのか検討が必要だと感じる.

 

研究室の強み,でいうと,弊研究室の強みは100%を達成するミッション成功率であり,それを支えるソフトウェアである.

もちろん,設計や試験手順などもミッション成功を支えているが,C2A (Command Centric Architecture) と呼ばれるソフトウェア(人工衛星のOSに近いレイヤー)が貢献するところが大きいと感じる.

これは研究室OBが考案したもので,人工衛星の動作は “コマンド” によって規定されるべきだ(ここでいうコマンドはかなり広い意味を持つことに注意)という考えのもと生み出された,再利用性と軌道上再構成能力の高いソフトウェアアーキテクチャである.

 

今回のSSCでは,NASA/JPLが小型衛星用のソフトウェアのオープンソースフレームワークについて発表していた.

これは,衛星のコンポーネントが進んでいることもあるのかわからないが,コンポーネントを中心としたアーキテクチャであった.

コンポーネントを規定し,それをGUIで書いていくと,自動的にXMLとコンポーネントclassが生成されるというもの.

 

まだまだ課題は多そうだが,オープンソース化してデファクトスタンダードを取るには十分すぎると感じた.

C2Aのオープンソース化の話はあるが,ドキュメントが日本語であることや,輸出禁止法などの制約により全く進んでいない.

C2Aのオープンソース化は直ちに動くべきだと思う.

他が広まってしまってからでは遅すぎる.

NASA/JPLの小型衛星用Open-Source Framework "F Prime"

 

SSC,全体を通じてめっちゃ楽しかった.

来年は後輩らが行くだろうし,何もせずに研究室のお金では行けない.

講演会場めちゃくちゃかっこいいし,来年は何か発表しに行きたい.

4.出典

32nd Annual Small Satellite Conference. Retrieved August 9, 2018, from https://smallsat.org/
Utah State University. AIAA/USU Conference on Small Satellites. Retrieved August 9, 2018, from https://digitalcommons.usu.edu/smallsat/

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