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【研究】修士論文の提出を終えて

事象発生日:2020-03-10

記事公開日:2020-03-10

アクセス数:15750

修士論文が無事に提出できたので,ちょっといろいろ書いとこうかなと思い,書いてます.

2月3日に修士論文の提出,そして同月6日に最終試問を終えてから,しばらく月日が経ってしまいましたけれど.

 

トップ画像の出典はこちら

1.はじめに

 

無事修了&博士進学(D進ってやつ)できます!!

2.修士論文提出前

提出1週間前にはメインの論は完成しており,残り1週間は違った切り口でいろいろ試していた卒業論文とは異なり,修士論文は最後までばたばたでした.

 

ばたばた,というのは,数を回さないと行けない計算が終わってないというのもそうだし,論文自体の執筆が全然進んでいない,というのもありました.

提出前日も,あるモンテカルロシミュレーションを回し,定期的に途中結果をチェックする,みたいなことをしていました.

そして,修論執筆のコミットログを見てみると,当然のように提出前夜は徹夜してるのがわかります.

 

言い訳をしていいなら理由はいくつかありました.

まず,実験というものが想像以上に時間を消費し,かつどのくらい時間がかかるのか全然読めないこと.

12月中には辞める予定だったバイトが,紆余曲折あり1月も継続することになったこと.

そして,修論ぐらいなんとでもなると思って何も考えずにいろんな予定(陸上無線技術士の試験とか,サークルとか,普段どおりに飲み会とか)を詰め込みまくっていたこと.

などですかね.

 

もう少し根源的な理由を考えていくと,

修論休み(修論休みという制度の詳細は「」を参照)が始まった11月から,修論についてちゃんと考えはじめたわけですが,

11月は国内学会での発表,国際学会Draft Paper提出,学園祭と特に研究を進められず過ぎ去ってしまい,

また12月は12月で,投稿論文のレビュー対応にかなりの時間と労力を持っていかれたのと,Draft Paperを完成させたそのままの浮かれた気分で修論の落とし所は見つかってないのに,なんとなく進捗がある気がしていて研究に身が入ってなかった,

というのが問題でした.

 

まあ,なんていうんでしょうか,実験やってちょっとデータがたまると,謎の達成感が得られてしまうんですよね.

ちゃんとそのデータを後処理して,検証して,意味ある情報を抜き出すといった,その後に必要な作業をしていないのにもかかわらず.

個人的な主観ですが,(開発における実験ではなく)研究における実験って,結構苦しいんですよ.

なんというか,実験系構築から手探りで,もちろん最初はうまく扱えないわけで,だんだんクセというか,雰囲気がわかってきて,やっとの思っていた所望のデータが取れる,だからデータが取れただけで嬉しい,みたいな.

 

まあそんな愚痴はどうでもいいとして,年が明ける頃には,そこそこ楽観的ではあったものの,修論の着地点は見えていませんでした.

先が見えないので,1月の最初の週は修論の書ける部分の執筆を進め,2週目辺りから脳みその奥底で考えていたことを真剣に検討していきました.

 

そして,とりあえず1つまとまった主張ができるための材料が,細かいですがいくつか集まってきたタイミングである修論提出2週間前の1月21日,研究室内での輪講発表を迎えました.

修論を通して主張したいあることについて,問題となっている部分・よくわかってない部分を潰していく,ということを,いくつかの重要な問題に対して行いました,というもの.

すごく面白くて革新的な手法を発見した,みたいなどんと大きなものが1つあるようなタイプ(ちなみに卒論はこっち系だった)ではなく,ちまちまと外堀をひたすら埋めていくようなタイプの研究です.

なので,ぶっちゃけていってしまえば,ここまでやったら終わり,ゴール,というものは明確にはなく,そこそこ分量も溜まったし修士論文としては問題ないレベルだろうと思い,あと2週間かけて結果をまとめ,ロジックを作り,執筆していけばいい,と考えていました.

 

輪講後の指導教員との個別ミーティングで,修士論文の論文全体のロジックと今後の計画を話し合ったのですが,なんとそこで,

「これじゃ足りない.△△を言いたいなら,◯◯の最適化もやるべき.」

「最悪試問に間に合わせれば良い.修論本体は図書館提出までなら差し替えれる.」

と言われてしまいました.

つまり,修論として主張したい△△について,技術的にはまあ実現可能,フィージブルであろう,というところまではある程度見えていて,

その先の,人工衛星の実ミッションとなった時にミッションとして成立するかとしてのフィージビリティを主張するためには,◯◯の議論は外せないだろう,ということ.

 

これに関しては,もともとはやろうと思っていたことではあるのですが,ただ1月頭にぐだぐだと修論のロジックを考えていると,そもそもできるかもわからないことについてのことを考えるより,まずできるかどうかが重要であるので先にこちらを検討するべき,と後回しにしていた部分でした.

 

残り2週間でこれやるのか...

今の結果の整理と執筆の時間を考えて,この問題用に現在のシミュレータを内包する新たなシミュレータを作り,そして試行錯誤するとなると...

と,正直,まじかー,と思いました.

 

そういうわけで,ここから2週間はいくつかの予定をキャンセルし,外せない予定以外はすべて修論に突っ込む生活になりました.

 

結果としては,なんとか終わり,そして指導教員に指摘された最後の最適化までやることで,論文全体のロジックも更にきれいになり,修論としてのクオリティが1段あがった気がしています.

多分,指導教員の先生はこのことを見越して助言してくださったなぁと思っています.

3.修士論文そのものについて

プロフィールページ業績一覧は公開していますし,これまでの予稿はもちろん公開されているので,たまには研究内容についてもちょっとは書きますかね.

 

以前,航空宇宙アドベントカレンダー向けにこんな記事を書きました.

この最後にもちらっと出てきますが,高頻度かつ高解像度の両立ができる地球観測システムについて,学部時代から研究しています.

 

イメージ図はこんな感じ.

小型衛星を編隊飛行(フォーメーションフライト)させて仮想的にめちゃくちゃ大きい望遠鏡(合成開口望遠鏡)を作って,静止軌道からほぼリアルタイムで定点観測しましょう,というシステムです.

 

で,宇宙空間で物理的につながっていない衛星らで1つの光学系を形成させるので,この衛星らの相対的な位置・姿勢を波長オーダーの精度で制御しないといけない,けどそれはむちゃくちゃ難しいよね,ってのが研究の中心です.

 

これに対して,コンピュータ上の数値シミュレーションだけだと説得力にかけるので,要所要所で実際に実験もしつつ,実験とシミュレーションの両輪で実現可能性を検証していく,といったことが修論の本筋です.

 

そんな事ができて何が嬉しいの? と言われると困るので,最初の応用としてオーストラリアの山火事の早期検出をモデルケースとして検討を進めています.

そういえば去年から今年にかけて,オーストラリアの山火事が例年以上にひどくて日本でもニュースになっていましたね.

今季の一連の山火事で,10万平方km以上焼失しているようです.(2月1日現在)関東の面積が3万平方kmちょっとなので,関東の3倍以上の面積が焼失してるようです.

さらに被害総額は100億ドルを超えるとか.

1億ドルをいただければ,このシステムを構築でき,そして山火事の早期発見が可能となり初期消火ができ,こういった被害も防げるんだけどなぁ....

キャンベラにある国会議事堂.山火事の煙で覆われている.

山火事は,主に赤外域で宇宙から観測できます.

NOAAの衛星NOAA-20に搭載された可視・赤外放射計VIIRSによるオーストラリアでの山火事の衛星写真

いまのところ,衛星の軌道や望遠鏡のサイズの制約で,こういった写真が1日数回撮れる程度ですが,このまま研究がうまく進みミッションとして実現すると,ほぼリアルタイムでかつずっと解像度の高い観測が可能になります.

 

 

修論の,学会などで発表することはない副次的な成果物として,高精度衛星フォーメーションフライト用のシミュレータがあります.

意外と,複数機の衛星を自然に取り扱えて,なおかつ様々な機器や外乱を高精度に模擬したシミュレータがなかったので,修士の間にコツコツ開発していたものです.

 

個人的に,このソースコードは公開したいと思っているので,準備ができ次第,オープンにしていきたいと思っています.

高精度フォーメーションフライト数値シミュレータの概要

 

 

修論の最後は,D進し研究を続けるわけなので,こんな決意みたいなものを書き留めて締めました(笑)

 

“最後に個人的な所感ではあるが,おそらく,世界初のmm級フォーメーションフライトの軌道上実証やそれによるミッションの実現はアメリカに先を越されるであろう.µm級ではそうならないように,本研究を着実に進め,数年以内の軌道上実証を目指していきたい.”

 

4.修士論文提出後

修論提出前に,提出が終わったら2月にやることをリストアップしてみたら,すごい量になってしまったんですよね.

 

ざっとこんな感じ.

国際学会アプライ
論文レビュー対応
EQUの論文化
衛星開発の再開
引っ越し
新居DIY
卒業旅行
福井出張
Perfumeライブ
人と会う
健康診断
留学準備
英語
ブログ書く
留学先の論文サーベイ
留学へ出発
X100V買う!!
写真撮り行く!!!

 

 

もう3月になってしまいましたが,これのうち,

EQUの論文化
X100V買う!!

以外はまあまあできたんじゃないでしょうかね.

修論が終わってほっと一息つけるかと思いきや,今日までずっと時間に追われてます.

 

Perfumeのライブは,ファンの後輩が手配してくれました.

東京公演1日目だったので,無事楽しめました.

ただ,後輩は2日目だったため,例のコロナウイルスによる政府からの自粛要請で中止になってしまったようです....

 

X100Vは絶対買うと決めているので早く買いたいのですが,短期留学の出発に販売が間に合わずまだ買えてません.

留学先のアメリカで買うと,何故か日本より2万円くらい安く買えるので,いろいろ動いて入るのですが,どこも店頭だと売り切れ,amazonも出荷日に幅がありすぎてポチるにポチれません....

早く欲しい....

 

留学の方は,もういろいろトラブってるところに,コロナウイルスでさらにいろいろあって,もういろいろって感じです(笑)

でもまあ,1人で異国に1ヶ月弱ほっぽりだされても,まあ生きてはいけるみたいですね.

5.その他 雑多

修士論文については,無事終わってなんとかなったな,という感じです.

修士1年の夏くらいに考えていた,研究の筋みたいなものは通せたかなぁ,と思ってます.

 

当初目標だった,修論内容で国際学会に2本くらい出す,という目標も達成できそうです.

また嬉しいことに,去年の終わりに修論の前半の内容で出した国際学会IFAC2020のDraft Paperがacceptされました.

Draft Paperの段階では7ページくらいは埋めたのですが,要所要所で "The ... results will be available before submitting the final paper." や " By the time the final paper is submitted, we plan to optimize ..." を連発しているので,これからちゃんとFull Paperを書かないといけませんし,結構レビューが返ってきてしまいました.

 

 

他には,最近ちょっと他の人の研究を見ていて思ったことがあって,研究能力,というと大げさなのですが,ちょこっと自分で考えてぱっと試せるスキルって,研究ですごい重要だなぁ,と感じています.

わかりやすい例だと,取得したデータや計算結果を,ちゃちゃっとスクリプトを書いて後処理して,荒いけどさっと可視化してみたりとか,ちょっとしたものをぱぱっと実装して適当に動かしてみる,とかです.

なんというか,深くやるのではなく,シュッとやる感じ.

そういう意味では,スクリプトを書いたり,適当にツールを組んだりすることに苦手意識がなくてよかったなぁ,と思いつつ,ささっと新しいものを理解して試せるスキルを上げていきたいなぁ,など考えていました.

 

 

さて,参加賞の卒業論文,努力賞の修士論文が終わったので,いよいよ本丸の博士論文に向けて,もうちょっと大学生活を長引かせていきましょうかね.

 

 

------

2020/03/14 追記

どうやら,修士論文が工学系研究科長賞に選ばれたようです.

卒業論文の日本航空宇宙学会賞に続き,学科・専攻での学位論文首席です.

 

大変光栄で嬉しいと思いつつ,個人的には内容にには満足していないので,引き続き頑張っていきます.

6.出典

CNN. Australia's deadly wildfires are showing no signs of stopping. Here'swhat you need to know. Retrieved March 10, 2020, from https://edition.cnn.com/2020/01/01/australia/australia-fires-explainer-intl-hnk-scli/index.html
NOAA National Environmental Satellite, Data, and Information Service (NESDIS). Fires Continue to Burn in Australia's Southeastern States. Retrieved March 10, 2020, from https://www.nesdis.noaa.gov/content/fires-continue-burn-australia%E2%80%99s-southeastern-states

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